地方公務員早期リタイアへの道、改めて司法試験合格への道

地方の役人が日々思うこと感じることを記録するブログ。

有給休暇を取得することは義務「権利のための闘争」

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こんばんわ。

 

ぽです。

 

年休の取得実態

公務員の有給休暇の取得は、私の自治体の場合、職員全体のデータを見ると平均で10日程とっているようです。

1年間で20日の年次有給休暇が付与されますので、10日とれば有給休暇の取得率は50%ほどとなります。

 

ただし、年次有給休暇の取得率を押し上げている要因には、有給休暇を取得しやすい部署によるものだと思われます。

 

業務が多忙で回らない所謂エリート部署(財務部門や人事部門)などは、有給休暇は多く取れて2~3日程度というのが実態なのではないでしょうか。

 

おそらく、年次有給休暇の取得率が低い問題は、公務員だけに限らず、日本全体に及ぶ問題でもあるところです。

 

なぜ日本人は年休を取らないのか

年次有給休暇が法的な権利として認められているのに実際には、この権利が行使されない背景にはなにがあるのでしょうか。

 

大きな理由として挙げられるのが「職場の空気」と呼ばれるものです。ほかの人が仕事をしている中、自分だけが休みを取るのは申し訳ないなどといったことです。

 

権利を行使する(年休を取得する)ことは義務である

大学で法学を専攻しているものであれば必ず(?)読むといわれている本があります。

 

ドイツの法哲学者ルドルフ・フォン・イェーリングによって書かれた『権利のための闘争』という本です。

 

社会というのは戦争と平和という歴史を繰り返しながら、今日に至っています。

平和の状態もほっておけば戦争により得た権利もすぐに奪われることになってしまうのです。

 

権利というものは奪い取ったものであり、これを行使しない限り権利そのものは形骸化してしまいます。

 

「法」には二つの意味があります。

ひとつは客観的な意味「法」。

もうひとつは主観的な意味の「法」。

 

権利を行使することで(主観的な意味の法)法秩序(客観的な意味の法)そのものへの恩返しをすることになるとイェーリングは言っています。

権利を行使しなければ(主観的な意味の法)をしなければ法秩序(客観的な意味の法)は意味がないものになってしまう。

 

権利を行使することは義務であると。

 

年次有給休暇をめぐる状況においてもこの考え方を利用することができます。

 

年次有給休暇を取ることは年次有給休暇という法秩序そのものへの恩返しになるのです。

年次有給休暇をみんなが行使すれば当然、そのような法秩序が生き生きとよみがえってくるのです。

 

年次有給休暇は労働により人間性を失った労働者の人間性の回復にあるという考えによるものです。

 

年次有給休暇制度は機能していない

法的な権利である年次有給休暇が日本においては機能していなのが現実だと思います。

近代的な法秩序を支えているのとは違う日本人的な意識によるもの大木のだと思います。

 

現在、労働基準法を改正し、年次有給休暇を義務化するという話があります。

これは我々が持っている権利を行使するという話とは別の次元の話になってしまっているような気がします。

 

ただ、日本の場合、こうするほか仕方がないのかなという思いもあります。

国民からの要求で権利が行使されるのではなく国家がこれを与えるというのも悲しい話だなと思う次第です。

 

それでは。